文法L1-5とは

子どもが“どんな文の形を使えるか”を、観察で分かる範囲で5段階に整理した指標です。
発音の綺麗さ・単語数の多さではなく、文の構造(主語・動詞・否定・過去・接続など)に注目します。

L1L2L3L4L5

使い方(超簡単)

  1. 1ヶ月のログで「今月はどのLが一番よく出たか」を選ぶ
  2. 迷ったら「安定して出る方」を採用(背伸びしない)
  3. Lは飛び級も後戻りも普通(成長の過程)

ざっくり一覧(1行で)

  • L1単語〜かたまり(名詞/動詞単体・定型句)
  • L22語〜短い文(主語+動詞っぽい形、要求・実況)
  • L3文法要素が増える(否定/疑問/複数/前置詞などが混ざる)
  • L4時制・理由・接続が安定(過去/未来/because/and/but)
  • L5複文・言い換え・条件(if/when/that節、説明が長くなる)

判定ガイド(迷わないためのルール)

  • 判定は「いちばん多い」か「いちばん安定」
  • 週に何度も自然に出る = “その子の今のL”
  • たまたま1回出た上位表現は「芽」としてメモに残す(レベルは上げない)
  • 1回の発話ではなく、生活の中で繰り返し出る型を見る
  • 例:毎回 “I want ___” が出るなら、それは安定。

詳細(L1→L5)

L1単語〜かたまり(Single words / Chunks)

できること(観察ポイント)

  • 単語1語、または丸ごと覚えた定型句が出る
  • 文の組み立てより「ラベル貼り」「合図」に近い

例(出やすい形)

  • 名詞:apple / dog / mama
  • 動詞:go / open / help
  • かたまり:thank you / here you are / all done / one more

“次”に行く芽

  • 2語が自然に繋がる(more juice / mommy help)
  • “I want / I go” など骨格が出始める

記録欄に入れると良い項目

  • よく出る単語(名詞/動詞/感情)
  • 定型句(丸暗記っぽいもの)

おすすめの関わり

  • 言い直しでなく“言い足し”
  • 子「apple」→ 親「Apple, please? / I want apple?」
L22語〜短い文(Two-word / Simple sentence)

できること(観察ポイント)

  • 2語以上で意味が通る
  • “要求・実況・拒否”が短文で出る

例(出やすい形)

  • more juice / go out / no bath
  • I want ___ / I go / I did it(形が少し崩れててもOK)
  • me do / my turn(代名詞や所有が出始める)

まだ難しいこと / このレベルの“あるある”

  • 否定/疑問/時制が混ざると崩れやすい
  • 前置詞(in/on/under)が不安定

“次”に行く芽

  • 否定が出る:don’t / no + 動詞
  • 疑問が出る:what/where + 単語
  • 複数が出る:cars / two dogs

記録欄に入れると良い項目

  • よく使う骨格(I want / I like / I go)
  • 2語フレーズの種類(要求・拒否・実況)

おすすめの関わり

  • 使った骨格を同じ形で回数増やす
  • “I want ___” を遊びの中で何度も成功させる
L3文法要素が増える(Negation / Questions / Prepositions emerging)

できること(観察ポイント)

  • 否定・疑問・複数・前置詞などが混ざりはじめる
  • 短文が増え、やりとりが成立しやすい

例(出やすい形)

  • 否定:I don’t like it / No, I can’t
  • 疑問:Where is it? / What’s that?
  • 前置詞:in the box / on the table
  • 複数:two cars / dogs
  • 所有:my / your / mommy’s

観察ポイント

  • 形は崩れるが、機能(否定したい・聞きたい)が成立している
  • 助動詞 can/will が混ざると揺れる

“次”に行く芽

  • 過去が安定:yesterday / I played / I went(不規則でもOK)
  • because / and / but でつなぎ始める

記録欄に入れると良い項目

  • 否定(don’t/can’t)の頻度
  • WH疑問(what/where/why)の種類
  • 前置詞の種類(in/on/under…)

おすすめの関わり

  • “質問→答え” の型を固定
  • 親「Where is ___?」→ 子「It’s in ___」
L4時制・理由・接続が安定(Tense / Connectors stable)

できること(観察ポイント)

  • 過去・未来が日常で安定して出る
  • 理由(because)や接続(and/but)で説明が伸びる

例(出やすい形)

  • I went to the park / I played with ___
  • I will do it / I’m going to ___
  • because it’s big / because I like it
  • I want it, but it’s too hot

観察ポイント

  • “昨日/明日” の話が増える
  • 「なんで?」に説明が返ってくる頻度が増える

“次”に行く芽

  • if / when など条件が出る
  • 1文の中に情報が2つ以上入る(複文)

記録欄に入れると良い項目

  • 過去表現(-ed / went / did)
  • 未来表現(will / going to)
  • because の使用回数

おすすめの関わり

  • 話を伸ばす質問
  • “Why?” “Then what?” “How did you feel?”
L5複文・条件・言い換え(Complex sentences / Conditionals / Rephrasing)

できること(観察ポイント)

  • 複文(2つ以上の文法要素のまとまり)が増える
  • 条件・時・理由などを組み合わせて説明できる
  • 言い換えや補足ができる(伝わらない時に直す)

例(出やすい形)

  • If you do it, I will ___
  • When we go home, I want to ___
  • I think (that) … / I know (that) …
  • I wanted to ___, but I couldn’t because ___
  • It’s like ___ / Not that one, the other one

観察ポイント

  • 「状況を説明する」発話が長くなる
  • “伝えるための工夫” が出る(言い換え・例え)

“次”に行く芽

  • 同じ文の中で if / when / because を自然に組み合わせる
  • 相手に合わせて説明の順序や言い方を調整できる

記録欄に入れると良い項目

  • if/when/because の複合(同じ文で複数使う)
  • I think / I know の出現
  • 言い直し・言い換えの事例

おすすめの関わり

  • 子の説明を遮らず待つ(途中で補わない)
  • 伝わらなかった時に「もう一回言ってみて」を促す

注意書き

  • これは診断ではなく、家庭での観察用メモです。
  • 生活言語(日本語)の発達や気質の影響も受けます。
  • 今日はL4っぽい、明日はL2っぽい、は普通です(疲れ・眠さで戻る)。